介護のちから ~第5回~ 住環境とバリアフリー(2)
こんにちは。コラム『介護のちから』を毎週お届けしている清水です。
今回は、2回に分けてお話しします「住環境とバリアフリー」の後半のバリアフリーについてです。
私が実際に行っていた介護タクシー業者時代の話も織り交ぜながらお話いたします。
バリアフリー法
住環境の基準を定めているのは「バリアフリー法」ですが、この法律は1994年に制定された「ハートビル法」と、2000年に制定された「交通バリアフリー法」とが統合されて対象者や制度の追加などがなされ2006年に制定されました。
このバリアフリー法には法の制定目的として「高齢者、障害者等の移動や施設利用の際の利便性・安全性の向上の促進を図り、公共の福祉の増進に資することを目的とする。」と規定され、現在は、この法律に則りながら、高齢者の方々や、障害者の方々の移動等の円滑化が促進されています。
私はかつて一から介護タクシー事業を始め、介護タクシーの運転手をしていたことがありました。その時、様々な場面で、「バリアフリーが必要だな。」と思ったことがありました。
例えば、2006年にバリアフリー法が施行される以前は、駅前に障害者用の駐車スペースがなかったりなど、困ったことも多かったと思います。
バリアフリー法が施行されたことにより「特定の車両の設備があり、届出を行うことで特定の場所で車両の駐車ができる」ようになり、公共施設などに駐車スペースが多くなっていたと思います。それでも施行当初はまだまだ駐車できる場所は少なかったのですが、改正が進みバリアフリーが実現されてきた現在の「平成30年の改正バリアフリー法」下では、高齢者や障害者の方々も駐車スペースで困ることは少なく移動できるようになったと思います。
心のバリアフリー
実際上の利便性を向上させるバリアフリーと共に介護に携わる方の心が豊かになるような心のバリアフリーも大切です。
福祉用具の使用方法がわからないから困っている人に手を差し伸べられないなど一般の人の介護の知識不足から、「積極的に介護福祉に関与したいのになかなか敷居が高くて難しい。」といった声が多く寄せられたことから、近年では市町村や学校教育と連携した「心のバリアフリー」向上活動が実施され、地域の方や子供たちに正しい介護の知識を学んでもらう機会を増やせるようになりました。現場からは、車いすの方々が困っていたら手を添えられるようになったという声も聞かれるようになったようです。
このように社会全体に自生した心のバリアフリーがもっと生まれると、今よりももっとよい社会や相互扶助意識の高い共生社会につながるかもしれませんね。
介護版ユニバーサルデザイン
最近ではバリアフリーと心のバリアフリーを合わせたような介護版の「ユニバーサルデザイン」という考えも現れてきました。
おしゃれでかつ介助を必要とする方にも配慮に富んでいる設計(段差のない公衆通路やデザインにも機能的にも優れた公衆トイレなど)は介助を受ける側も介助をする側ももっと生活や気持ちが豊かになるように思います。
そんな生活が送れるような社会は本当に幸せだと感じます。
今回は住環境とバリアフリー②についてお話させていただきました。
(清水勇耶)
プロフィール
清水勇耶(しみず・ゆうや)
ケアマネジャー。株式会社ワンダフルライフ代表取締役。みんなでケア開発者。
一人よりも二人より多くの方々の幸せのためにという法人理念の基、関わる皆様に介護業界がより良くなるようなご提案のできる仕事を心がけている。また、福利厚生としてLVMHグループの介護福利厚生、介護ロボットの活用、その他介護支援専門員問の研修・セミナーなども行っているなど、幅広い分野で活躍中。主な取得資格等:介護福祉士、介護支援専門員、社会福祉主事、厚生労働省IOTロボット評議員、同省介護ロボット講師、AI・IOTシニアコンサルタント、ビジネスモデル検定1級、運行管理者