介護のちから ~第3回~ 歩行時の介助の基本
こんにちは。毎週コラム『介護のちから』をお届けする清水です。
今回は「歩行時の介助の基本」に触れていきたいと思います。
介護の仕事をしている方々や、介護に関わりのある方々、在宅で家族の介護を行っている方々に少しでもためになればと介護福祉士の視点から介助についてのお話をしたいと思います。
歩行時の基本
歩行時の介助は患側後方に位置するようにしましょう。
患側とは、麻痺、疾病、傷病により半身が動かしづらかったりする場合(反対に健康な側は健側といいます。)に患側の後方にいてあげると利用者様の安全確保につながり、不安がある患側に寄り添ってもらえることで本人の安心にもつながります。
歩行動作の基本
歩行時には声かけをわかりやすいように行ってあげましょう。耳の近くで大きすぎる声を出してしまうと混乱してしまう場合もありますので、注意が必要です。患側がある場合には患側に寄り添って、コツは「ゆっくりとした動作」と「声かけ」です。
また、階段を下りる際には連続した動作ではなく、いったん落ち着いて、介助者が一段先に降りて声かけを行い、一段下がる順番で階段を降りましょう。
目が見えない方に寄り添う場合にも「介助者が一段下がる」→「ご本人が下りる」の動作を繰り返しましょう。
立ち上がりの基本
座っているところから立ち上がる時には【なるべく近づいて】周りの環境にも配慮して、物が散らばっていないか?障害物がないか?立ち上がるのに十分なスペースを確保しているか?を確認するようにしましょう。
また、無理に手を引っ張ったりしないよう注意をして、ご本人の体の状態を理解して立ち上がりを補助しましょう。
立ち上がりの前に「声かけ」を行うこともとても重要です。
杖を使用する基本動作1
杖を使う際にも基本動作があります。
一般的に杖を使用する際は「杖」→「患側の足」→「健側の足」の順番で動かすように注意をしましょう「杖」→「患」→「健」の順番を覚えておくとよいかもしれません。
坂道や、段差(立って越えられるような)も同じように動作を行います。
ここで介助者にできることは「見守り」と「声かけ」になります。適度に無理のないように声をかけてあげるとよいと思います。ご自身で頑張っているところに、残存機能を阻害するような声かけ(頑張って!頑張って!など)や、手助け(連れて行くから大丈夫ですよ。など)はしないようにしましょう。
杖を使用する基本動作2
次は「階段を上がる時」と「階段を下るとき」の基本動作について学んでいきたいと思います。
まず、階段を上がる時に片方の身体が動かしづらい場合などには「杖」→「健側の足」→「患側の足」と上がる際にしっかりと力が入る健側で踏ん張り、患側を持ち上げる。という順番で、階段を上る前に声かけを行い動作に入るようにしましょう。「杖」→「健」→「患」の順番で覚えておきましょう。
次に階段を下りる際には「杖」→「患側の足」→「健側の足」と降りる際にしっかりと健側で杖を置き、患側を下げ、県側を降ろす。という順番で、階段を上る前に声かけを行いながら誤動作を行うようにしましょう。「杖」→「患」→「健」の順番で覚えておきましょう。
支持基面積
少しだけ専門的になりますが「支持基面積」という言葉があり、まっすぐ立っている時、歩いている時に地面に接している部分の面積をいい、中心に重点を置くことで安定します。
歩行時に重心がずれてしまいますが、杖を使うことにより支持基面積が広がることから、理論的に転倒防止になっています。重心を崩してしまうと安定しないので、重心は中心を意識することがポイントです。
今回は歩行のお話でした。一人でも多くの転倒を防げたらと思います。
(清水勇耶)
プロフィール
清水勇耶(しみず・ゆうや)
ケアマネジャー。株式会社ワンダフルライフ代表取締役。みんなでケア開発者。
一人よりも二人より多くの方々の幸せのためにという法人理念の基、関わる皆様に介護業界がより良くなるようなご提案のできる仕事を心がけている。また、福利厚生としてLVMHグループの介護福利厚生、介護ロボットの活用、その他介護支援専門員問の研修・セミナーなども行っているなど、幅広い分野で活躍中。主な取得資格等:介護福祉士、介護支援専門員、社会福祉主事、厚生労働省IOTロボット評議員、同省介護ロボット講師、AI・IOTシニアコンサルタント、ビジネスモデル検定1級、運行管理者