介護のちから ~第6回~社会福祉法人の役割
こんにちは。コラム『介護のちから』を毎週お届けしている清水です。
皆様。やっと。やっとです!コラムを担当させていただいて1か月が経ちました。
早くもこれは大変なことを始めてしまったと後悔している清水です。
さて、気を取り直して。今回のテーマは「社会福祉法人の役割」についてお話したいと思います。
社会福祉法人が担う公的役割
福祉に携わる方々はご存じかもしれませんが、社会福祉法人は「日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者に対して、無料又は低額な料金で福祉サービスを積極的に提供するよう努めなければならない」と規定されています。また、2016年の社会福祉法の改正により「地域における公益的な取組の実施」に関する責務規定が創設されました。これは、サービスを営利目的ではなく公益的に行うという意味につながります。
さて、介護保険を利用する際は無料で介護福祉サービスを受給できるのでしょうか?障害福祉サービスはどうでしょう?答えは「NO」です。
健康保険を思い起こしてもらえれば良いと思うのですが、一部の例外を除きまして、福祉サービスを利用するにあたっても自己負担が全く無くサービスを受けられるというものではありません。
費用の多くは国などが拠出してくれるのですが、1割~3割程度サービスを利用する者が自己負担を負うのが通常です。
「じゃあ結局は営利目的なんじゃないか!」とお叱りを受けそうですが、ここでいう「公益的な目的」にはとても大切な意味があります。
例えば、社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームというものがあります。特別養護老人ホームには基本的には要介護3以上の方が入所できる施設になるのですが、場合によっては下記の条件等により、例外的に特例入所の措置をとれる場合もございます。
・認知症であり日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難な状況。
・知的障害があり、日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難な状況。
・家族等の虐待などにより(経済的虐待を含む。)、心身の安全・安心の確保が困難な状況。
・単身世帯であり、同居家族が高齢又は病弱である等の理由により、家族等による支援が期待できず、さらに知己での介護サービスや生活支援のサービス供給が認められないなどの理由により在宅生活が困難な状況。
このような場合など、相当な状況下にある時には、要介護3でなくても入所できる場合があります。
このような事業を行っている社会福祉法人は社会福祉事業を公益的に行うことを目的として、社旗福祉法の規定に基づき、諸官庁の認可を受けた法人に限り運営をすることで公的な補助や税制優遇が受けられる形になっています。
そして、様々な制約や条件がある中に、経営の原則(社会福祉法第24条)という特徴があり、社会福祉法人として活動するために社会福祉事業の主たる担い手として事業を継続しなければなりません。
経営の原則の条件として下記3つが挙げられます。
①自主的な経営基盤の強化
②福祉サービスの質の向上
③事業経営の透明化の確保を図る必要
その他にも様々な条件下で運営がなされることで税制面での非課税(収益事業は一定の公益事業に充てる収益にしなければなりません。)、の措置や補助金の交付を受けることができます。
このように社会福祉法人には公的な役割があることを今回は話させていただきました。社会福祉法人には他にも日常生活支援や地域支援などいろいろな活動を行利地域社会福祉に貢献しています。また折を見てお話させていただければと思います。
まとめ
社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的として、社会福祉法の規定に基づき、 所轄庁の認可を受けて設立される法人。ということを覚えておくと良いのと、地域の困りごとにも適宜適切に介入してくれることが多いので、お近くの社会福祉法人を知っておいて損はないと思います。
(清水勇耶)
プロフィール
清水勇耶(しみず・ゆうや)
ケアマネジャー。株式会社ワンダフルライフ代表取締役。みんなでケア開発者。
一人よりも二人より多くの方々の幸せのためにという法人理念の基、関わる皆様に介護業界がより良くなるようなご提案のできる仕事を心がけている。また、福利厚生としてLVMHグループの介護福利厚生、介護ロボットの活用、その他介護支援専門員問の研修・セミナーなども行っているなど、幅広い分野で活躍中。主な取得資格等:介護福祉士、介護支援専門員、社会福祉主事、厚生労働省IOTロボット評議員、同省介護ロボット講師、AI・IOTシニアコンサルタント、ビジネスモデル検定1級、運行管理者